RFF無線日記(リスタート版)

アマチュア無線局JR7RFFの無線日記 各地の移動記録や天文・星なども

「雪の瀬川」

※「雪の瀬川」なのでたぶん長文注意です。
落語の師匠,Oさんのおかげで,数年前から落語を聴くようになりました。
そのうち,柳家さん喬師匠が気仙沼にお出でいただけるようになりました。
ありがたいことです。
今日は先日開催した落語会の反省会です。
慰労会ではありません。
反省会です。
次回に向けて,まじめに意見の交換をしました。
今回は特に反省点はないようですが,
駐車場のことを考えると,今の人数が限界のようです。
ただ,お客さんたちの協力のおかげで成り立っている会なので感謝の気持ちを忘れないようにしないと,と自分で確認しています。
さて,落語=お笑い,と考えている方も多いと思いますが,
落語には様々な噺があり,笑って泣いて笑えるものもたくさんあります。
柳家さん喬師匠はたくさんのレパートリーをおもちですが,
人情噺という分野では第一人者と言われています。
中でも,さん喬師匠しかやらない,という噺がいくつかあります。
知人の中で「さん喬師匠の『雪の瀬川』が好きだ」という人物がいます。
私も好きな噺の一つです。ただ,欠点が一つだけあります。
長いんです。登場人物の人物像を理解させるために,かなりのエピソードがあります。
また,江戸時代の風物もたっぷり紹介してあります。
その結果,最初から最後まで聴くと,なんと74分です。
これはベートーベンの第九より長いです。
師匠もそのことを考慮してか,後半から話すことが多くあります。
せっかくなので「雪の瀬川」のあらすじを紹介します。
大店の若旦那がおりました。
本の虫とも呼ばれるほど,本が大好きで,勉強ばかりしていました。
少しは世の中を知らないと商売に差し支えるというので番頭が浅草に連れ出します。
しかし,若旦那は本で読んで知っているので番頭に浅草寺のことや伝法院通りのことを逆に説明します。
しかし,番頭の真の狙いは若旦那を吉原に連れて行くことでした。それを知った若旦那から,「店を潰すための悪巧み」とまで言われてあやうく首になります。
結局番頭だけでは失敗し,太鼓持ちの力を借りて若旦那を吉原に連れて行くことに成功します。
そこで若旦那は松葉屋の瀬川花魁に一目惚れしてしまいます。
その結果,毎日毎日通い詰め,とうとう勘当されてしまいます。
ここまでがだいたい30分です。
後半です。
勘当された若旦那は行く当てもなく彷徨い歩きます。
吾妻橋の袂で,身投げでもしようかと思っていたときに,
昔,若旦那の店に奉公していた人に声をかけられます。
奉公人同士の恋愛は禁止だったようで,二人で駆け落ちして,
今は夫婦二人で幸せに暮らしています。
事情を話すと,どうぞうちにお出で下さいと言われ居候をすることになります。
お世話になった大旦那を裏切ったという思いがあり,せめてもの罪の償いということで若旦那を夫婦二人で面倒を見ることに決めたのです。
しかし,若旦那を連れては来たものの生活の貧しさは,若旦那でも分かります。
遠慮する若旦那に奉公人は言います。
「子供の頃は私をお兄ちゃんと呼んで慕ってくれた。ここを兄の家だと思って甘えて下さい」
この辺はもうまぶたがぐっしょりです。
若旦那は瀬川に「お金を貸してほしい」という手紙を書きます。
お金を無心する手紙なのですが,瀬川は泣いて喜びます。
若旦那が生きていたことが嬉しいと。
そして,「雪の夜に会いに行きます」と伝えられます。
勘当されて無一文の若旦那と吉原からの足抜きは死を意味する花魁の二人はどうなるのでしょうか。
本来であれば心中するしかない男女ですが・・・。
ここから先は,柳家さん喬の噺をお聞き下さい。
私はいくら噺が長くても最後のシーンがとても心にしみます。
最後の雪のシーンを描くための噺とも言えます。
さん喬師匠は,雪の瀬川を,今降っている雪を楽しむ噺と言っています。
また,師匠の落語家としてのポリシーは,話し手と聞き手が思いを共有するような噺家になりたいと常々話されています。
思いを共有するための時間が74分かな。