RFF無線日記(リスタート版)

アマチュア無線局JR7RFFの無線日記 各地の移動記録や天文・星なども

星を見よう2…4 はやぶさ2順調に飛行中

今日は雨模様なので移動運用ができません。
自宅で執筆やステッカーづくりの作業の日です。

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 先日,宇宙航空研究開発機構JAXA)の研究員の方と話す機会がありました。その際に,はやぶさ2の運行について伺うことができたので紹介します。
 はやぶさ2は2014年12月3日に,打ち上げられ,小惑星リュウグウに向けて順調に飛行中です。2015年12月3日には,地球のすぐ近くを通過し,地球の重力で加速するスイングバイにも成功しています。その後,イオンエンジンを連続運転し,さらにスピードアップしています。今年の8月27日には,打ち上げから1000日を経過しました。飛行距離は25億5千万キロメートルを超えています。
 さて,実際の運用はどうなっているか紹介します。はやぶさ2のコントロール室は神奈川県相模原市にあるJAXAの本部にあります。約10人の研究員の方が交代ではやぶさ2の監視に当たっています。一人の研究員の担当は1週間です。10人ですから,10週に1回担当が回ってきます。引き継ぎは300枚にも及ぶデータで行われます。担当になった人は1週間コントロール室に詰めることになります。その間,はやぶさ2のコントロールパネルを見つめることになります。コントロールパネルには,はやぶさ2から送られてきたデータ,つまり数字がずらりと並んでいるそうです。異常がある場合は,ワーニングまたはエマージェンシーが表示されます。ワーニングは警告で黄色の表示,エマージェンシーは緊急で赤色で表示されるそうです。ワーニングは担当者の判断で対応するそうですが,エマージェンシーの場合はチームで対応することになります。今のところ,チーム全体で緊急に相談するような重大な事態は起きていないそうです。
 現在のはやぶさ2の位置は地球から約2億5千万キロメートルの距離にあります。これは,電波でも10分以上かかる距離です。はやぶさ2が地球に向けて電波を発射して,地球からの指示が届くまでに30分近くかかります。ですから,地球では迅速な対応が迫られますし,あらかじめはやぶさ2自身で対応できるようなプログラミングもされています。特に,リュウグウに着陸する際には地球からの指示を待っていては対応できそうにないので,綿密にプログラムが組まれているそうです。この辺りは日本の技術の真骨頂と言えますし,はやぶさの経験が生かされています。
 はやぶさ2との電波によるやりとりは,長野県佐久市臼田にあるパラボラアンテナが使われています。電波を送受信できるのは,日本からはやぶさ2が見える位置にある間だけです。一日24時間のうち,8時間程度だそうです。
 さて,今回のはやぶさ2は地球に還ってきても本体が地球に落ちてくることはありません。カプセルだけを地上に落下させるそうです。では,その後のはやぶさ2はどうなるのでしょうか。なんと,まだ決まっていないそうです。前回のはやぶさは最後の力を振り絞って還ってきました。今回もどうなるかは分かりません。燃料の残り具合などの条件を考慮して,地球に還ってきた時点で決めるそうです。
 とにかく,今回も貴重なサンプルを地球に無事持ち帰ることを願ってやみません。

※図はJAXAのページから引用