RFF無線日記(リスタート版)

アマチュア無線局JR7RFFの無線日記 各地の移動記録や天文・星なども

今日は柳家さん喬師匠独演会in気仙沼


ありがたいことに,今年も柳家さん喬師匠が気仙沼においでくださいます。
気仙沼ローカルの三陸新報が紹介記事を載せて下さいました。

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 今年も柳家さん喬師匠が気仙沼においで下さいます。今回で4回目となります。
 柳家さん喬師匠は、みそ汁のCMで有名な五代目柳家小さん師匠の8番目の弟子です。小さん師匠は坂本龍馬も学んだ北辰一刀流の七段範士で、さん喬師匠はあまり口にはしませんが、小さん一門の落語家さんはみんな剣道ができます。さん喬師匠はまくら(本編が始まる前の話)で小さん師匠との思い出をよく話しますが、特に私が印象に残っているのはさん喬師匠がまだ前座の頃、19才のときに、福岡で豪華な食事(松茸等)をいただいたときの話です。小さん師匠から「どうだ美味かったか?」と聞かれて、「はい」と答えたときに、「その味を忘れるんじゃねぇぞ」と言った後で「でもな、たくあんの味も忘れちゃいけねぇぞ」と言われたそうです。たぶん味も芸と同じで幅の広い落語家になれという意味だったのでしょうか。人間国宝だった小さん師匠ですから、本当はもっと奥深い意味がったのかも知れません。一つ言えることは、柳家一門の落語家の皆さんは食べる仕草がとても上手です。うどんとそばの食べ方を演じ分けたり、美味しいそばとそうでないそばも見ていると分かります。もちろんさん喬師匠の食べる芸も超一品です。
 さん喬師匠は人情噺の第一人者と言われています。噺だけでなく師匠本人も人情味にあふれた方です。盛岡のお蕎麦屋さんが開催するさん喬師匠の落語会では真正面の一番前の席にいつも決まって座る方がいます。体が不自由で行列に並ぶことができないその方のために、客がみんなで席を空けて待っているのです。もちろん、みんなで相談したわけではないのですが、自然とそのような形に落着いたそうです。さん喬師匠はその人に高座から「業務連絡」と称して声をかけます。そのような高座と客席との間の温かさが、そのお蕎麦屋さんの落語会の楽しみでもあります。そして、その落語会では震災後に私たちを楽屋に招いて下さり、声をかけて下さいました。私は落語だけでなく師匠の温かい人柄のファンでもあります。
 さて、落語の楽しみはいろいろありますが、噺家ごとの演じ方の違いを味わうのも一興です。落語、特に古典と言われる噺のあらすじは有名なものばかりですので、噺の最初の方で、ああ、この噺だなと分かります。そこで、あらすじが絵のデッサンだとすると、それに色をつけたりして完成させるのがそれぞれの落語家の仕事です。しかも目に見える絵ではなく頭の中に絵を描いてくれるのですから大したものです。そして、ホールなどの独演会なら落語家の皆さんそれぞれの雰囲気をたっぷりと時間をかけて味わうことができます。この贅沢な感覚を気仙沼で体感することができます。
 12月23日ということで暮れも押し詰まった時期ですが、その時期にこそ聞くことができる噺がたくさんあります。この機会にぜひ「さん喬師匠」の落語を聞いていただきたいと思います。柳家さん喬師匠の落語会は12月23日(金)の午後2時半から本郷のゲストハウスアーバンで開かれます。