RFF無線日記(リスタート版)

アマチュア無線局JR7RFFの無線日記 各地の移動記録や天文・星なども

星を見よう2…3「はやぶさ2の計画」

 先日,宇宙航空研究開発機構JAXA)の研究員の方と話す機会がありました。その際に,はやぶさ2のことについて伺うことができたので紹介します。
 はやぶさ2は2014年12月3日に,小惑星に向けて,種子島宇宙センターからH−?Aロケットで打ち上げられました。目的地である小惑星は,打ち上げ当時は,「1999JU3」という仮符号で呼ばれていましたが,現在は「リュウグウ」という名称になっています。はやぶさが向かった小惑星イトカワはサツマイモのような形でしたが,小惑星リュウグウはそれより大きく,グレープフルーツのような丸い形をしています。リュウグウの直径は約七百メートルです。
 リュウグウの軌道は,金星と火星の間を回る楕円軌道です。ですから,地球の軌道を横切ることになります。ちなみに,現在,約46万個の小惑星の軌道が判明していて,そのうちのいくつかは地球に接近する可能性がある小惑星として監視されています。リュウグウも地球に接近する可能性のある,アポロ群の小惑星の一つです。
 はやぶさ2はリュウグウに近づき,表面にクレーターを作り,リュウグウに着陸して,その奥の土壌を持ち帰る予定です。小惑星の多くは,太陽系が形成された時点で,惑星と同時に誕生したと言われています。地球などの惑星の表面は,45億年という長い年月のうちに大きく変化していて,太陽系が誕生した時点での様子は跡形もありません。その点,小惑星は大気がないので,風化することなく生まれた時点での状態を保っていると考えられます。しかも,はやぶさ2は衝突体を使って太陽熱によって変成した可能性のある表面の土壌を吹き飛ばして奥の土壌を持ち帰るので,太陽系ができたころの様子を知ることができます。リュウグウは多くの水分を含む小惑星なので,生命の起源となる有機物が見つかれば,大発見です。
 はやぶさ2もはやぶさと同じようにイオンエンジンを搭載しています。イオンエンジンはキセノンガスを電極でイオン化しそれを後方に噴射させることによって推進力を得ます。電気推進エンジンです。推進力はそれほど強くないのですが,省エネで長時間運転することができます。以前から,電気でイオン化することによって推進力を得るという発想はあったのですが,実現化したのは日本が世界で初めてです。エンジンを動かす電気は太陽パネルによって発電しています。
 はやぶさからはやぶさ2で大きく変わったのは,アンテナです。アンテナは探査機の情報を送信したり,地球からの指示を受信する大事な部品です。これによって安定してはやぶさ2との連絡が取れています。
 はやぶさ2は来年,2018年の7月にリュウグウに接近します。その後約1年半リュウグウを観測し,その後,着陸して試料を採取し,2020年の年末に地球に還ってくる予定です。東京オリンピックパラリンピックが終わったタイミングですが,はやぶさ2が打ち上げられたときは,まだ開催が決まっていませんでした。
 はやぶさ2の現在の状況については別の機会に紹介します。

※図と画像はJAXAのページから引用